下着のアウター化には、この微妙な羞恥感情が影響していたと考えられる。まず、引き金になったのは、アウター側の変化であった。キャミソールファッションによって身体が露出すれば、当然、そこにあった下着も露出してしまう。女性としては肌見せファッションを楽しみたい。でも、下着が見えてしまうのは、恥ずかしい。このジレンマをなんとかして解決できないだろうか。そんな消費者のニーズとメーカーの工夫が、下着に新しいデザインや着用スタイルを生み出すことになった。一つの方法は、肌見せファッションを着用していても、下着が目立たないようにすることである。ワンピース型のスリップドレスや上半身型のキャミソールという。下着ルックヽが1997年から1998年にかけて流行のトレンドを作ったが、その結果爆発的に売れたのは肩ひものないストラップレスのブラジャーで、都内の百貨店では「通常の年の二倍、三倍のペース(『産経新聞』1998年7月29日付)」となった。また、それに先立って1996年から「シルエットがスリムになり、チビTが流行(『30YEARSNBF』日本ボディファッション協会、2007)」している。これは小さめのサイズで身体にぴっちりとフィットするTシャツのことで、ブラのラインやレースの形が浮き出てしまう。そこで下着では、レースを使わず、シンプルなラインの「Tシャツブラ」が定番化していった。恥ずかしさへのもう一つの対抗策は、どうせ下着が「見えて」しまうのなら、いっそのこと、「見せて」しまおうという方法である。「見える」は恥ずかしいが、「見せる」は恥ずかしくないという原理がここで活かされる。
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