戦後日本の持家社会を形づくったのは、標準世帯の住宅所有である。そこでは「男性稼ぎ主」が住宅資産の形成に従事するのに対し、女性の大半は自身の住宅資産をもっていない。持家は住んでいる世帯が保有しているというイメージがある。しかし、持家の所有者を正確に特定すれば、その多くは「男性稼ぎ主」である。結婚して子どもをもち、家事と育児を担い、夫の持家に住む、というライフコースが女性にとっての「普通の人生」であった。
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住宅所有のジェンダー化のメカニズムをどのように説明するのかという問題は幅広い論点を含む。しかし、住まいと暮らしに関わる家族主義のシステムが住宅資産のジェンダー化を制度的に推進したことは間違いない。住宅金融公庫は融資対象から単身者を除外し、家族/単身の「有利/不利」を設ける施策を一九八〇年代まで続けた。社会保障制度と税制は被扶養の妻を優遇し、標準世帯の形成を促した。労働市場では女性の地位は低く、賃金と昇任に関する男性/女性の「有利/不利」がある。配偶者をもたない女性は、低い経済力しか得られず、住宅市場では不利な位置に置かれる。