最初に提示した設計料から値引きができるなら、最初の提示は下駄を履かせたものとなり、建築士の信用問題になる。実際は「安くする代わりに無資格者に図面を作成させる」「必要な図面を書かない」ということである。妥当な設計料からの値引きは建築主にとって危険である。たとえば、江戸時代の話で、三井呉服店は値引きをしなかった。これが信用を生み出し三井財閥の基礎となった。また、経営の神様といわれた松下電器の松下幸之助氏は、不況で電球が売れないとき、重役から「電球が高いから売れない。
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値下げをしたらどうか」と提案された。ところが「もし値下げをすれば、今まで不当に高い値段で利益を得てきたと思われてしまう。そうなれば価格の付け方に信用がなくなり、企業にとっては致命的な痛手である」と受けつけなかった。さらに、ディスカウントで有名な城南電機も生前、次のようなはなしをしていた。「大工さんに家を建ててもらうときと、食堂で料理を注文するときは値引き要求をしてはならない。値引きをさせれば悪い材料で家を建てたり、悪い材料で料理を作ったりしてしまうからだ」購入するものが家電製品など工場で作られたものや、陳列されている商品なら、すでにモノや保証などは確定している。このようなときなら値引きの要求をしても心配はない。しかし、家や料理をはじめ、設計のように、価格の決定後に商品の質が決まるようなときははなしは別である。