メインの教材はテープであって教科書に非ず

2011.06.06

日本人が英語の勉強というとテキストが中心になりますが、英語でコミュニケーションをとることを目的とした場合、正しい方法ではありません。そもそも日本人の英語教育は、教科書を使って行われてきているので、比較的、英文のテキストを読みこなすのは得意なようです。その証拠に、中学や高校の教師のほとんど(大学の教師のなかにも時々いる)は英語のコミュニケーションは得意ではありませんが、教科書やテキストは一応読みこなしています。ただし、教科書を日本語的発音で棒読みし、生徒に訳させる授業ではコミュニケーションとしての英語は身につきません。もちろん、正しい発音を聞かせようと考えている教師は、英語版のテープを利用していますが、その利用方法は十分にコミュニケーションに役立っているとは言えません。繰り返し聞くことの重要性と理由はおわかりのことと思います。そう、耳を慣れさせるためです。テキストを見るのは、なぜいけないのでしょうか。それは、私たち日本人は、視覚への依存が強いからです。漢字は目で見て意味がわかりますから、その習性に慣れているのです。正確に言えば、視覚への依存が強いのは日本人だけではないのかもしれませんが、英米人に比べれば確かに依存度が高いように思います。それは、英語が音声を表す文字で綴られるのに対して、日本語は表意(象形と言ったほうが正しいのでしょうか)文字で綴られることからも感じられます。しかも、日本人は文字を美しく書けることを美徳としていますが、英米人は自分たちの字が汚かったり、ビジネス文書などを除けば、スペルのミスもさほど恥には感じていないようです。記憶するということに関しても、例えば、日本人は漢字にしても英語のスペルにしても紙に書いて覚えようとしますが、英米人は何回も口で言って覚えようとします。このように視覚に対する依存が強い日本人は、テキストを与えずに「テープだけで聞き取るように」と指示すると、英語の聞き取りに慣れていない人はパニックになります。そして、一旦テキストを与えると、「テキストを見ないでテープを聞いてみてください」と言っても、テキストを離そうとしない人までいるのです。テキストに頼っていたら、いつまでたっても耳を鍛えることはできません。英文を読み解くことだけを目標に勉強しているなら、それでもよいのですが、活字に頼らず、英語を使って世界中の人とコミュニケーションをとることを目標にしているのです。コミュニケーション、つまり会話は生ものであって、そこにはテキストなど存在しません。いつまでも「テキスト依存症」であってはダメなのです。勇気を持ってテキストを手放し、ただひたすらに、聞く力を養うことに邁進しようではありませんか。あくまでテキストは、わからないところを短時間で理解するためにのみ利用するようにしてください。実際に会話しているとき、聞いてわからなければ、遠慮せず尋ねればいいのです。

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