まずは、ご自分の素足をよくご覧ください。ガッカリしたり、急いで隠したくなりませんか?手入れの行き届いたきれいな足をしている人は以外と少ないものです。美しい足を維持するためには、常日ごろから惜しみない努力と注意が必要です。先進国では約八〇パーセントの人が足について、なんらかのトラブルを持っている、という調査結果が出ています。一般に日本人は足については関心が低いようです。足の悩みは遺伝的なものはごくわずかで、ほとんどが近代文明の影響によって生じていると言われています。にもかかわらず、私たちは髪の毛や肌には十分すぎるほど手入れをしていますが、身体中でもっとも酷使されている足には、気を配ることはほとんどありません。なぜなら足は靴下やストッキング、靴などで包まれていて、直接人目にさらされていないからです。人間が立って歩く、いわゆる「直立二足歩行」になってから、約百万年になると言われています。現代人は二本の足で立つことをとくに意識することはありませんが、これは他の動物とくらべるとき、非常に大きな違いになっているのです。人類も古くは四つ足で地上を歩いていましたが、恐竜から身を隠すために樹上生活を始めたころから、前足が手に変わりました。やがて恐竜が滅びるとふたたび、地上に降り、後足で直立歩行を始めたため、二本の手が開放され、自由に使えるようになりました。これが人間の大脳の新皮質を非常に発達させることになったのです。人間が二本の足で歩くという行為は、もっとも重要な機能の一つですが、そのメカニズムには驚嘆してしまいます。私たちはふだん、一日に一万歩(約五・五キロメートル)を歩くとしますと、一生の間に地球を約四周することになります。こうしてみますと、足はじつにたいへんな運動をしていることがわかります。体と地面の接点は足の裏ですが、前面が隙間なく接しているのではありません。「親指の付け根」「小指の付け根」の三か所で支えるようにできています。これを専門的には「三点荷重構造」といいます。足裏の地面に接していない部分(つちふまず)は、歩いたり、走ったときに受けるいろいろなショックや衝撃をやわらげたり、吸収してくれるのです。たとえば、体重六十キログラムの人は、一歩歩くごとに約二百三十キログラムの重圧を受けます。その力は足の裏のごく一部の範囲に集中しています。一日を考えますと片足に千トン以上の重圧が加わっているのに、それをまったく感じないのは「つちふまず」がすばらしいシステムによって機能しているからです。足を酷使したときなど、足の裏に鈍痛を感じたり、脚部ばかりでなく腰や背中の筋肉まで痛みます。このように全身に疲労感を覚えるのは、足を動かすのに広範囲の筋肉を使うためです。また、足は、「ミルキングーアクション」といわれる重要な機能がありますが、これは心臓から送り込まれた血液をふたたび心臓へ送り返す働きのことです。ですから、手を「第二の顔」というのに対し、足を「第二の心臓」ということが理解できます。足には全身の骨の四分の一に当たる二十六個の骨と、十九種類の筋肉、百七本のゴムまり状の靭帯や腱、そして神経、血管があります。関節を取り巻く関節膜は、潤滑性の骨液を分泌し、足の運動がスムーズにできるようにしています。また筋肉が楽々と足を引き上げたり、回したりできるのは、靭帯で骨をしっかり固定しているからです。どんなに酷使されても足が耐えられるのは、足全体の機能のネットワークによるものです。こういうふうに足を見ますと、足と足の爪の病気や変形は体に重大な影響を及ぼす可能性があることがおわかりいただけると思います。健康にたいへん密着している足のトラブルにめざめた人が多くなってきたことや、実際に悩んでおられる方も増えてきたことで、最近フットケアへの関心がかなり高まっきています。